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海龍王寺


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奈良の海龍王寺にやって来ました。

今では、ひなびた土塀が趣のある小さなお寺ですが

創建当時は遣唐使の渡航無事祈願のために建てたという

戒壇を持つ国家の重要な大寺院だったそうです。



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パンフレットによると

元々は平城京以前から土師氏ゆかりの寺院だったところ

藤原不比等がこの辺り一帯を譲り受け

寺院も邸宅に取り込まれたそうです。



不比等が亡くなったあと娘の光明皇后が相続し

唐から経典五千巻を携えて帰国した玄昉が

その功績により初代住持となります。



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山門をくぐり

鬱蒼とした緑の小路を抜け

開けたところに本堂がありました。

建物は江戸時代のものですが

深い軒の出やゆるい屋根勾配、整然とした柱など

奈良時代の仏堂の特徴を取り入れて作ってあるそうです。



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創建当初の姿を今に伝える西金堂。

初代住持・玄昉の時代は天皇家とのかかわりも深く

「宮廷寺院」として天皇家を支えていきます。

この頃が玄昉の人生でいちばん輝いていた時でしょうか。



晩年は力を盛り返してきた藤原氏によって

九州大宰府に左遷され

彼の地であっけなく死んでしまいます。



それにしても、藤原氏は

力をつけた政敵を大宰府に左遷するパターンが多いですね。

菅原道真、吉備真備に玄昉。



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西金堂内に安置された

国宝の五重小塔です。

  創建当時からここにあったそうで

天平時代の建築技法を今に伝えています。



上層に向けて細くなり

プロポーションも美しい塔でした。



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パンフレットには書かれていませんが(当たり前!)
 
玄昉が亡くなって20年後の

光明皇后の娘、称徳女帝・道鏡時代には

この寺でお釈迦様の仏舎利が出現したというのです。

「道鏡を法王に!」と、称徳天皇が言い出す

きっかけとなったお話しですが

(結局は海龍王寺の道鏡の弟子の捏造でした。)



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鎌倉時代創建の一切経蔵

経典や文書収めていた蔵です。



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天平の時代は

政治の表舞台で華やかだった(?)海龍王寺ですが

今では時間の経過とともに心安らぐ古刹となり

そんな歴史は微塵も感じさせません。







Commented by travel2013 at 2016-07-13 23:59
こんばんは。

先日のクルクル髭遺跡に続き、渋い所を巡られてますね!
つい、唸ってしまいました(苦笑)
私も大分前に、訪れたことがありますが、五重小塔がとても貴重な塔だった記憶が……

それより、本堂に、みうらじゅんさんの雑誌などが展示されてた記憶が!?鮮明に蘇ったような気がします(笑)
Commented by mami-2013 at 2016-07-14 22:55
こんばんは。たびんちゅさん。
私も「天平冥所図会」という本を読まなかったら
ここには来ていなかったかもしれません。

光明皇后ゆかりのお寺で玄昉や道鏡の名が出てくると
生き馬の目を抜く政治闘争の場のような
大きなお寺を想像していました。
こじんまりとしていたこのお寺で国宝が見られるとは
思ってもいませんでした。

みうらじゅんさんの雑誌は記憶に残っていないのですが
みうらじゅんさんとご住職は親しい間柄のようですね。
帰ってからHPでご住職のお写真を拝見したら
入口でチケットを売っていた方だったので
びっくりしました。
修行僧の方だと思い込んでいたので。((+_+))
Commented by nana_delicious at 2016-07-15 16:39
綺麗ですねぇ。
緑がまぶしいです!!
mami2013さんのレポを見ているとのんびり国内旅行したくなります^^
Commented by pekonovi at 2016-07-17 14:09
こんにちは(*^o^*)
奈良の旅行記、興味深く読ませていただきました。
mamiさんの行かれたお寺は、どこもひと気があまりなく、しんとした印象ですね。
奈良といえば有名な観光地の印象ですが、こんな風に静かで厳かなお寺もあるんですね。
お写真がとても素敵で、お散歩している気分にひたれました❣️
Commented by mami-2013 at 2016-07-17 15:30
nanaさん、こんにちは~。
バタバタしてお返事遅くなりました。

うっかり通り過ぎてしまいそうなくらい
間口の小さなお寺なのに
国宝があるのにはびっくりでした。
「 奈良って凄いなぁ。」って改めて感じたお寺です。
Commented by mami-2013 at 2016-07-19 00:21
pekoさん、長いレポにもかかわらず
たくさんの「イイネ」ありがとうございます。

そうですね。
天平時代の小説の舞台となったお寺ばかりだから
当時は大きく由緒あるお寺でも遷都や廃仏棄釈によって
こじんまりとしてきたお寺も多くありました。

こんなお寺に国宝がゴロンとあるのも不思議な感じで
他県の展示に貸し出される時は
うやうやしくガラスケースの中に鎮座しているのかなぁ?
と、想像しました
by mami-2013 | 2016-07-12 22:33 | + 2016.06.26 天平冥所図会 | Comments(6)

思いつくまま、日々の暮らしを写真と文章でつづっています


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