法華寺門跡で光明皇后を想う
2017年 06月 28日
6月も終わりに近づいて
今年も蓮が咲き始めました。
今更ですが、昨年の法華寺の蓮を。
蓮の花ことばは
「神聖」「清らかな心」「救済」「離れゆく愛」など
色々とあるようです。
法華寺は藤原不比等亡き後
娘の光明皇后が屋敷の一部を皇后宮にしたのが法華寺の始まりです。
天平の時代に全国に建立された
国分尼寺の総本山となります。
蓮の花ことばが色々とあるように
光明皇后も様々な顔(評価)があると思います。
小説「天平冥所図会」の中では夫の聖武天皇と共に
全国に国分寺、国分尼寺を建て仏教を広め
社会福祉の先駆者として
施薬院(病院) 悲田院(貧窮者や孤児のための施設)を作り
慈善事業と仏教で国を救済しようとした慈悲深い女性。
また、上の写真の浴室(からふろ)で
皇后みずから薬草を煎じ
難病者千人の衆生の垢を流され
最後の一人だった皮膚病の老人を
皇后はためらうことなく、老人の背中の膿を口で吸いだすと
老人はたちまち阿閦如来となったという伝説もあります。
一方、小説「阿修羅」では
母方の橘氏の一族に生まれながらも
藤原仲麻呂と共に橘氏を滅ぼしてしまうという
冷徹でダーティな女性。
藤原氏の一族ということからか
暗いイメージもつきまといます。
でも、この法華寺は清らかな清々しい境内です。
松本清張の「眩人」の中でも皇后は出てきましたが
ちょっと週刊誌のゴシップみたいな視点でしたが
この法華寺は松本先生も「奈良の旅」の中では
大絶賛していらっしゃいました。
いろんな視点から語られる皇后ですが
それだけ、魅力があったということなのでしょう。