当尾の里を歩く 岩船寺
2014年 06月 21日
平安時代末期から鎌倉時代にかけての仏教美術ツアーです。
まずは、岩船寺へ。
ここは関西花の寺二十五ヵ所霊場の第十五番でもあり
今は、紫陽花が咲き始め、睡蓮が見ごろでした。
境内に入っていちばんに目を惹く三重塔。
室町時代の建築で重要文化財です。
内部の壁画も平成15年に復元されています。
「奈良語り部の会」の河野先生に
「歴史や建築史では、建立した人の名は出てきますが
設計者や棟梁の名前は出てきません。
彼らの地位は低かったのですか?」
と尋ねたところ
古くは建物の設計者の記述が少なく
建物や瓦に名前を残すのはずっと後の時代で
塔の相輪や瓦を作る人の事を
当時は博士と呼び尊敬されていたそうです。
中でも興味深かったのが
三重塔の四隅の垂木を支えているのが天邪鬼です。
四天王像の足で踏ん付けられている姿がお馴染みですが
仏教発祥の地、インドでは天邪鬼は
“森の精”と云われているそうです。
角や牙は無く、お猿さんのようなユーモラスな姿です。
塔の前にある阿字池には睡蓮の花が咲いています。
岩船寺は天平時代、聖武天皇が僧行基に命じ
阿弥陀如来堂を建立したのに始まり
最盛期には、東西十六町、南北十六町の広大な境内に
三十九の坊舎を有していたそうです。
本堂の中は撮影が禁止でお寺のHPも見当たらなかったので
写真がありませんが
本堂には行基作といわれる阿弥陀如来坐像がセンターに
なんと、高さ5㍍の欅の一木(いちもく)造りです。
阿弥陀如来は極楽浄土に導いてくれるありがたい仏様です。
欅は非常に固く、しかも暴れるので彫物には向いていません。
しかも一本の欅の大木から作られ、千年以上たった現在でも
金箔が残り優美な姿を保っているのは
相当、精巧なつくりだと思います。
重要文化財ですが国宝級の作品だとか
須弥壇の四隅には四天王立像
普賢菩薩騎象像も重要文化財ですが
国立博物館へ出張中で見ることはかないませんでした。
お陰で、空っぽの厨子の背面に描かれた
法華曼荼羅がよく見ることが出来ました。
岩船寺をあとにし、浄瑠璃寺へ向かいます。
この辺りは、当尾(とうの)の里といい
摩崖仏や石地蔵が数多く見られる
石仏の道として知られています。
鎌倉時代、南宋から来た石工が石の加工技術を伝え
石仏が盛んに作られたそうです。